物語を紡ぐ場所

ちびちび妄想を綴っていきます。                                   尚、「物語を紡ぐ場所」はブログ名で、カテゴリーが作品名です。カテゴリー(作品名)をクリックで始めから読めます。

#16 とりあえず納得?

仙狐九尾会

「いい加減にしてください!」
 ルーシーが再び荒ぶっていた。
 仙孤九尾会の謎ルールに迫った結果である。二度目なので以下省略。
「こっちは真面目に訊いてるんですよ。真面目に答えて貰わないと!」
 吠えるフェネック仙狐ことルーシー。その威圧に、わずかとは言え珍しくたじろぐ様な仕草を見せながら、九尾会の重鎮、銀毛の仙狐こと宇迦之御魂神が苦笑まじりに言った。
「ま、真面目に答えたつもりなんやけど……」
「どこがですか!? 散々勿体ぶって理由が無いとか、ふざけてるでしょ。大体、理由が無いのにアタシがアホ丸出しになるって、完全にあたしの事、からかっているだけですよね?」
 ルーシーの眉は両端共に吊り上がっていた。
「それは誤解やで、ルーシーちゃん」
 宇迦さんがそう言って制すると、ルーシーの片眉が更に吊り上がった。
 僅かにだが慌てたように宇迦さんが付け加える。
「だって先刻(さっき)ルーシーちゃん、必死で知ったかぶっていたやん? 必死で知ったかぶっていたのに、それが理由もへったくれも無いものだとわかったら、ルーシーちゃんの立場ないやろ。アホ丸出しになってまうと思うやろ?」
 ……まあ、確かに。
 私は得心して頷いた。
 だが、当の本人であるルーシーはそうもいかなかったのだろう。その顔はたちまちにして羞恥の紅色へと様変わりしていき、そのまま心ここに在らずといった様子で黙り込んでしまった。
 その哀れな姿を見兼ねた私は、そっと声を掛ける。
「ま、まあ知らなかったんだし、しょうがないよ」
 するとルーシーは、私の声に反応した……のかは定かではないが、不意にガタンッとテーブルに手をついて勢いよく立ち上がると、身を乗り出して宇迦さんに詰め寄った。
「で、本当のところはどうなんです? 理由は何かしらあるはずですよね? 教えてください!」
「え? せやから無いって……」
「またまた〜。このルール、千年以上前からあるんですよ。あるでしょ、理由の一つや二つ。例えば、最低限ヒトに化けられる程度の技量がないと会員として認められないから、とか」
 自ら理由を発案、提示し始めるルーシー。最早それは現実逃避と呼べるのではなかろうか。ともあれ、見ているこちらが辛くなるような、その哀れな姿に耐えかねて、私は堪らず目を伏せた。
 一方、宇迦さんはというと、聞き分けのないルーシーに嫌気がさしたのか、はたまた単に呆れ返っただけなのか。蓋を開けて一晩放置した炭酸飲料みたいに気の抜けた声で、
「あーはいはい。もう、それでええわ。ヒトに化けれん狐は九尾会に相応しないって事にしとくわ」
 それは明らかに投げやりな対応であった。
 これには流石に狸で傍らにいるだけの私とて横から苦言を呈したくなる。理由がない時点でそれを望むのはおかしいのかもしれないが、一応は歴史ある仙狐九尾会のしきたりの事である。もう少し真摯な返答で応えるべきではなかろうか、と。
 しかしながら真実から目を背けたルーシーは、そうは思わなかったようだ。
「な~んだ、やっぱり理由はあるんじゃないですか」
 誰がどう見ても明らかに嘘(フェイク)なのに、晴れやかな笑顔でそう返していた。
 宇迦さんが宇迦さんなら、ルーシーもルーシーだ。幾ら真実を受け止められないからとはいえ、本当にそれでいいのかと、こちらはこちらで思わず疑問をぶつけたくなる。
 もっとも私はそうした気持をぐっと心内に抑え込み、表に出す事はしなかった。何せ私としては当初の目的、即ち仙狐九尾会において古くから続く謎ルールに対する疑問の答えを得る、という事に関しては既に完遂済みである。つまりは、もはや宇迦さんのその場しのぎやルーシーの見栄っ張りに付き合う必要が無いのである。当人達が各々不満を抱えて対立を続けるのならばいざ知らず、このまま歪でも丸く収まる事を望むというのであれば、わざわざ重箱の隅を突いて話を蒸し返すような無駄多き真似をしようとは思わないのだ。
 そんな訳で黙って様子を伺っていると、やがてルーシーは弾んだ声で「いやー、有意義な時間を過ごせたよ。それじゃ、そろそろ昼休みも終わるし、あたし行くね」と一方的に言い放って立ち上がると、私や宇迦さんの応答を碌に待たずして、颯爽と立ち去っていってしまった。
 ほんの少し前まで怒りを顕にしていたとはとても思えない潔い切り替えっぷり。それは呆れを通り越して、尊敬の念さえ懐きたくなる後ろ姿だった。
 ともあれ、これでこの話は終わりである。
 そう油断して偉大で矮小なフェネックの背中を見送っていると、脇にいる宇迦さんが独り言のようにボソリと呟いた。
「やれやれ、巧く誤魔化せたな……」
 え!?



つづく。
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#15 勿体ぶっていましたが……

仙狐九尾会

「何であたしがアホ丸出しになるんですか!? 不憫になるんですか!? そもそも、あたし理由も知らないんですよ! 知らない事がアホ丸出しなら解りますが、知ったらアホ丸出しで不憫って、意味解らないんですけど!!」
 ルーシーが半ば声を荒げて宇迦さんに言い迫っていた。
 私達は『仙孤九尾会の狐達はなぜ人の姿で活動しているのか?』、この古くからある謎ルールの理由に迫ったはずだった。
 それを、ルーシーが「アホ丸出しになる」からと、宇迦さんは回答を保留したのだ。
 ルーシーはその理由を知らない。加えてこの謎ルールはルーシーの半生よりも遥かに歴史が深く、実質的に彼女とは無関係と見るのが妥当のはず。にも拘らず、その真意の露呈がなぜか無関係のはずのルーシーをアホにするというおかしな矛盾。その脈絡の無さにルーシーが不満を懐きたくなるのも無理からぬものであろう。
 そんな至極真っ当とも謂われるルーシーの咆哮に、宇迦さんは片手を頬に当てながら困った様子で応えた。
「せやかてなぁ……」
「いや、その『せやかてなぁ』が意味解らないんですよ。何がどうなったら、あたしがアホ丸出しになるんですか!?」
 ルーシーが食って掛かると、尚も渋るように宇迦さんが訊ねた。
「知りたい?」
「そりゃ知りたいですよ!」
「でも、話したらルーシーちゃんはアホ丸出しやで?」
「ぐぬっ」
 僅かにたじろぐルーシー。しかし恥よりも探求心が勝ったのだろうか、苦虫を噛んだように奥歯を噛み締めながら、すぐに言葉を捻り出した。
「……い、いいですよ」
 そこにはルーシーの並々ならぬ決意が滲み出て見えた。
 とはいえ、その後小声で「い、いや先ずアホ丸出しになるとは限らないし……実際そんな心当たりないし……」と自分に言い聞かせるように漏らしているところを見ると、ルーシーの心の迷いが払拭されたわけではないなさそうであった。
 ともあれルーシーの気概に心打たれたのかは分からないが、宇迦さんは「ルーシーちゃんがそう言うならかまへんけど」と承諾して、仙狐九尾会謎ルールの理由を話し始めた。
「あんな……理由やけどな……」
 勿体ぶるように文節を区切ってゆっくりと語る宇迦さん。散々渋られてのこれである。私とルーシーは思わず急かすように復唱していた。
「理由やけど?」
「実はな……」
「実は?」
 宇迦さんはここで更に態とらしく深呼吸を挟む。
 じれったい。
 私とルーシーは「ゴクッ」と仲良く固唾を飲み込んだ。
 すると漸く宇迦さんがその根幹を口にする。
「特に理由は無いんよ」と。

 ……………………………………………………。

 私達は沈黙した。
 何せそれは予想外の回答、ともすれば根底から色々と覆るようなものであったからだ。
 私は只々唖然とし、ルーシーもぱっくりと口を半開きにして蝋人形のように固まってしまったのだ。
 十秒ほどあった後。
 周囲の狐たちが織り成す雑談の数々がBGMとして木霊す中、この限定的静寂を破ったのは、キリッと眉を吊り上げ、鋭いジト目のルーシーが張り上げた、
「ちょ、まてや!!!」
 との声だった。
 


つづく。

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#14 ささやかな疑問のはずが……。

仙狐九尾会

「そう言えば、何で九尾会の狐はみんな普段から人に化けて活動しているんですか?」
 私はふとそんな疑問を口にした。
 今はまだ昼休みの真っ只中。宇迦さん、ルーシーとの雑談の最中での事であった。
「どしたの風貍、急にそんな事訊くなんて?」
 ジト目のルーシーが蛋白に言った。
「いや、なんとなく。狐の組織なのに常日頃から人の姿で業務をこなしているのって、よくよく考えたら何でだろう?って」
 九尾会が管理する各施設というのは原則として人の姿を模していなければ入れない。そういうルールが存在する。初めてここを訪れた際、それを言い渡された私は他種の庭という事もあり、郷に入りては郷に従え精神で言われるままに受け入れたのだが、思い返せば理由を聞かされていなかった。まあ、狸の私はその方が目立たずにいられるので有り難いし、知らなきゃ知らないで支障は無い。唯、本来は狐だけの場所なのだから、わざわざ人に化けずとも狐姿のままでよくないか、と思ったのだ。
「何を今更。決まってるじゃない、そんなのあれよ、あれ」
「あれって?」
 嘆息して勿体振るルーシーに私が急かすように訊ねると、
「だからあれよ……宇迦さん言ってやって」
「アンタも知らんのやろ」
 透かさずツッコミを入れる宇迦さん。
「いっ!?」
 ルーシーはそっと視線を逸した。
「なんだ、ルーシーも知らないんじゃないの」
「か、勘違いしないでよね。私は知らないんじゃなくて、うっかり忘れているだけよ。ほら、さっきまで色々あったじゃない? 気が動転して一時的に失念しているっていうのかしら……」
 異様に目を泳がせるルーシーに、
「そない必死になって誤魔化さんでもええやろ。今日日そんなんいちいち説明なんかしてへんし、知らんでもおかしないからな」
 宇迦さんが苦笑気味に言った。
「うっ……」
 きまりが悪そうに呻くルーシー。
 とりあえず見栄っ張りのルーシーは放っておいて、私は改めて訊ねた。
「で、どうしてなんです?」
 すると宇迦さんは急に伏し目がちになったかと思うと重苦しい口調で言ってきた。
「どうしても知りたい?」
「え!? あの……」
 いきなり敬遠な態度を取られたという事もありたじろぐ私。知りたい気持ちは山々だが、思わずどもってしまう。
「知りたいっちゃあ……知りたいですけど……九尾会的に不都合があるのならば……無理にとは……」
「別に九尾会的に不都合があるいうわけちゃうんやけど……」
 宇迦さんは見るからに顔を曇らせてそう言うと、「ただな……」と意味深そうに付け加える。
「ただ……?」
 遠慮がちに私は聞き返した。
「今は拙いねん」
「今は……!?」
「そう今はな……」
「時間が関係しているんですか……? お昼だから……?」
「そうやないねん……」
 宇迦さんは歯切れの悪い返答を繰り返していた。
 う〜む……。
 九尾会の重鎮がこうも渋るという事は余程重大な問題が絡んでいるということか。いやしかし、九尾会の事で九尾会的に不都合がないのに、こうも渋るものだろうか。それに立場上NOと言えばそれが問答無用で通るはずなのに、なぜ故はっきりと拒否しないのか。なんというか、釈然としない事が多過ぎる。これでは、私としては引くに引けないというものだ。
 私は更に「結局、何が問題なんですか?」と食い下がって訊ねた。
 すると宇迦さんは流石にこれ以上はぐらかすのは気が引けたのだろうか。「そやな……」と小声を漏らしてからいっそう重い口取りでこう言ったのだった。
「あんな……ルーシーちゃんがアホ丸出しになってまうねん」

 ……………………………………………………………。

「「えっ……!?」」
 数秒の静寂があった後、そんな声を漏らしたのは意外な返答に困惑した質問者の私であり、唐突に名指しされたルーシーであった。
 私はすぐにルーシーへと顔を向ける。すると、そこには首を傾げて目を点にした、なんとも言えぬ間抜け顔が待っていた。その全く身に覚えがなさそうな本人の姿に混迷を深める私。
 意味をはかれずに呆けていると宇迦さんは繰り返すように言った。
「せやからな、今ここで理由(それ)を口にしたらルーシーちゃんがアホ丸出しになってまうねん。そんなん不憫やん」

 ……………………………………………………………。

 再び暫しの静寂があった後、今度はルーシーのみが荒げた声を上げる。
「何であたしが!!!?」




つづく。

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#13 もしかして根に持つタイプですか?

仙狐九尾会

「へぇー、今そんなんが流行ってるんやね」
 仙狐九尾会一尾の宇迦さんが目を丸くしながらも楽しそうに感嘆の声をあげていた。
 宇迦さんはアフターケアと称し、狸の私を気遣って様子を窺いに来たらしい。そうした事情もあり元々は私の近況聴取が目的だった筈なのだが、いつの間にか本筋から脱線し、気付けば私たちはルーシーも交え流行のコスメ話で盛り上がっていた。
 実のところ、これまで私はルーシーを除いては九尾会の面々とあまり面識がなく、専ら仕事上の付き合いしかしてこなかった。そのため今回が宇迦さんとまともに言葉を交わす初めての機会である。相手は個性派揃いの九尾会に於いてリーダー的な立ち位置の偉大な狐。狸で代行でしかない私はどうしたってこの狐界のVIPを前に身構えてしまうというもので、気乗りはしていなかった。しかしながら、いざ話してみると宇迦さんは思いの外気さくで話し易く、懐いていたその印象とのギャップからか、つい心を許して余計な事まで口走ってしまうほどだった。それはこの結果だ。
 とは言えだ。別にこちらから頼んだわけでもないので私が気にかけることではないのかも知れないが、わざわざ御足労頂いた相手を手ぶらで帰すのには些か気が引けるというもので、
「あの……私、今のところ大した近況報告していないんですがいいんでしょうか?」
 私は野暮と知りながらも、こうして一度話を蒸し返すのだった。
「ええよ、ええよ。ウチが知りたかったんは風狸ちゃんがちゃんと此処に馴染めているか、いう事で、アンタの活動実態を知りたかったわけではないからね。風狸ちゃんの今のその表情(かお)見たら、もう十分に目的は果たせてるし、ぶっちゃけ今は唯の暇つぶしや」
 暇つぶし!?
 思わぬ答えに呆気にとられる私。
 それを見た宇迦さんは悪戯っぽい笑みを浮かべて、
「ウチの暇つぶし、迷惑? 嫌なら言ってな、ババアは空気読んで立ち去るさかい、バ・バ・ア・は」
「ひぎッ!?」
 向かいの席のルーシーが関係ないのに小さく声をあげ、それを受けて私も反射的に少し身を縮ませてしまう。
「ん?」と意味深に小首を傾げる宇迦さん。
「全然、迷惑じゃないです」
 私は慌てて否定する。
「なら、ええんやけど。でもほんま嫌やったら言ってな。陰でババア言われるくらいなら、ウチ喜んで出て行くさかい」
 チラリとルーシーを見ると顔面蒼白で苦笑していた。
「はははっ、言いませんよ」
 私は精一杯陽気に答えた。
 そして同時に、しかと心に誓うのだった。
 宇迦さん(このひと)にババアは禁句、決して口にしないようにしよう――――――と。





つづく。

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#12 反省した?八尾

仙狐九尾会

「ふひはへんへひは(すみませんでした)」
 正座姿でほっぺたを摘まれたルーシーが涙を滲ませて謝っていた。
 相手は仙孤九尾会第一席、稲荷神社の総元締でもある宇迦之御魂神。しゃがんでルーシーのほっぺたを摘んでいる銀髪ロングヘア美女である。
「まったく、ジジイはともかくババアはあかんよ、ババアは」
 宇迦之御魂神こと宇迦さんが冷たい笑顔でルーシーのほっぺたを引っ張って言った。些か「怒るポイントそこでいいの?」と狸の私は思わなくもなかったが、とてもじゃないが指摘できるような空気でもなかったので無視(スルー)することにした。君子危うきに近寄らずというやつだ。
「ひははははッ(イダダダダッ)! ほふほひふひはへふへひは(本当にすみませんでした)』
 悶ながら重ねて詫びるルーシー。もはや雄弁に(愚痴を)語っていた先程までの威勢はなかった。
 その変容っぷりに、心配しつつも少し呆れて見ていると、
「まあ、ええわ」
 唐突に宇迦さんがルーシーのほっぺたから指を離した。
「ふわっ!?」とルーシーがバランスを崩してよろける。
「別にルーシーちゃんをイジメるために来たわけやないからな」
 そう言うと宇迦さんは一旦立ち上がってから、私の斜め向かいの席に腰を下ろした。
 そして、
「どや、風狸ちゃん? 九尾会本部(ここ)にはもう慣れた?」
「え!? 私?」
 不意に宇迦さんから笑顔を向けられ戸惑う私。
「そやよ、先刻(さっき)言ったやん、ガールズトークに混ぜて、て。ウチが食堂(ここ)に来たんは、九尾会のまとめ役として、風狸ちゃんの近況を訊くためやさかい」
「……はあ、でも何で?」
「そりゃまあ、風狸ちゃんがここにいるんは特殊事例やからな。風狸ちゃん狸やもん。狐の世界でいろいろと苦労しとるんやないかと心配になるやん。最終的に風狸ちゃんの採用を認めたのもウチみたいなもんやし、アフターケア言うんかな」
「アフターケア……ですか……」
 私が呆けてそう漏らすと、いつの間にか正面席に座り直していたルーシーがほっぺたをさすりながら口を尖らせボソリと言う。
「ちぇッ、なによ風狸のせいであたしはこんな目に遭ったって事? ツイてないな」
「何言ってるん? そこはルーシーちゃんの自己責任やろ。愚痴は周り見て上手く零しいや」
 すぐさま宇迦さんが笑顔でルーシーを睨みつけた。
「ひいッ!?」
 たじろぐルーシーに宇迦さんは続けて諭すように言った。
「それに『ツイてない』はないやろ。寧ろ見つけたのがウチで良かったんとちゃう? 荼枳尼ちゃん辺りに見つかってたら、あんた今頃八つ裂きにされて、うどんのトッピングメニューにでもなっとるで」
 おそらくはその光景を想像したのであろう。ルーシーは少し間を置いてから引き攣った顔になり、「た、確かに……」と乾いた声を漏らした。
「そやろ、ちゃんと反省せんと死ぬで」
「……うすッ、以後気をつけます」
「わかればよろしい」
 どうやら宇迦さんの目的は本当に私だったらしい。思いの外手早くルーシーを鎮めると、改めて私に柔らかな笑みを向けて来たのだ。




つづく。

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