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野狐喫茶の楓ちゃん

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 また毛玉のやつは気持ち良さそうにわっちの膝の上で眠っておるのじゃ。

 わざわざ専用のベっどまで買ってやったというのに、何故かいつももぞもぞとそこから這い出てきては、わっちの膝の上によじ登って来るのじゃ。

 生意気なのじゃ。

 ……まあ良いのじゃ。

 わっちはいちおう出来た大人じゃからのー。

 幼子の粗相の一つや二つくらい目を瞑れる器量を持ち合わせているからのー。

 ともあれ――――

 猫用品……意外と出費が嵩んだのじゃ。

 喫茶店経営が滞っておるというのに、なんとも傍迷惑な話なのじゃ。

 くぅー、よもやおぬし、黒猫だけに、わっちに不幸を届けに来たのではなかろうな?

 呑気に眠る毛玉にひとり愚痴を零してみるも、返ってきたのは「すぴぃー」という寝息だけじゃった。

 ほんと生意気なのじゃ。

 うーむ……ならばこうしようではないか。

 おぬしの名前は今から「福」とするのじゃ。

 幸福の福。

 ふふんっ、どうじゃ?

 不幸を届けに来たのに幸福な名前をつけられて悔しかろう。

 福よ、わっちは出来る狐ゆえ、おぬしの思い通りにはならんのじゃよ、かかかっ。

 言っておくがおぬしに拒否権はないからの。

 なにせ野狐喫茶(ここ)の主はわっちで、おぬしはここの居候なのじゃからな。

 主の命は絶対なのじゃよ。

 ふんっ、ざまあみろなのじゃ。


――――そんなわけで、黒い毛玉の名前は福に決まったのじゃ。



※これはフィクションです。
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